解体工事は建物や構造物などさまざまな建設工事によって生み出されたものを、解体していく作業をいいます。
しかし、解体するという作業の性質上、施工するにあたっては危険を伴うことが多く、安全対策を十分に行う必要があります。
さらに高い安全意識を持ちつつも、現場で注意点を意識した計画に沿って作業を行うことで事故を防止できるのも事実です。
そこで今回は、解体工事の注意点を中心に解説していきましょう。
押さえておきたい解体工事の注意点
解体工事を施工するにあたって注意点として次の点が挙げられます。
建物の把握
建物や構造物の内容を把握して、解体工事を適切に選択することが必要です。
事前に調査を行ったうえで地盤状況などをチェックして安全に解体できるように計画することが求められます。
アスベストの有無などを把握する
アスベストは石綿とも呼ばれる建材です。
軽量で機能性が高いことから、かつては多くの建築物で使用されていました。
しかし、発がん性が指摘されたことから、撤去には特殊な作業が求められます。
アスベストの有無を把握せずに解体をしてしまうと、法令的に問題となるだけでなく、作業者の健康被害も発生してしまうため注意しなければなりません。
安全対策
解体作業は危険を伴うことが多いので、安全帯、安全ヘルメット、保護メガネ、防塵マスクなどを用意して、装着するようにします。
暑いからと、手を抜いてしまうと、安全が損なわれることも多いので注意しましょう。
騒音振動も重要
騒音や振動対策を徹底することも注意しましょう。
解体工事に伴って起こる、騒音や振動は、周辺住民に悪影響を与えるため、対策を怠るとトラブルに発展するリスクがあります。
事前に説明を行うことやあいさつ回りをすることと並行して、防音シートの設置や散水などを行うのが注意点として挙げられます。
立ち入り禁止区域を設定する
安全確保をするために立ち入り禁止区域を設定して、さまざまなトラブルが起こったとしても影響を最小限にすることがポイントです。
トラブルは起こらないに越したことがありません。
しかし、予想外のトラブルが起こることもあるのです。
そういったときに被害を最小限にするための注意点として、立ち入り禁止区域を設定することは重要といえるでしょう。
見落としがちな解体工事の注意点
施工するにあたっては、見落としがちな注意点もあります。
それは必要な申請や許可を取得することです。
具体的には次のような手続きが必要になり、施主にも伝えておくことが求められます。
・解体工事の届け出
・建物滅失登記
解体工事の届け出は、延床面積80平方メートル以上の建物を解体する際に行われる手続きです。
工事をする前に施工する場所の市区町村あてに提出します。
この手続きを行わないと解体工事が違法なものになってしまうので、事前に施主へ説明しておきましょう。
次に建物滅失登記が挙げられます。
これは、施工時に建物滅失証明書を発行し、施主に渡すことで、施主やその委託を受けた司法書士によって行われる手続きです。
印鑑証明書や登記事項証明書などを用意して法務局に届け出ることが必要です。
解体工事が終了したら、必ず建物滅失登記を提出しなければならないので注意するようにしましょう。
まとめ
解体工事は、安全に施工するために作業員に安全対策や注意点を伝えることが重要です。
また、さまざまな機材の点検や整備をすることも施工するにあたっての注意点といえます。
さらに、作業以外にも適切な手続きを行うなど実施のし忘れといったことも少なくありません。
そういったことがないようにこまめなチェックを行って、スムーズな解体工事が施工できるようにしましょう。