長年暮らしていた自宅や親の住んでいた実家などの解体工事を行う際は、
不要になった家具や家電、生活ゴミなどの処理に困るものです。
これらのゴミとされる不要物のことを「残置物」と言います。
残置物は解体工事を請け負う業者にまとめて処理を任せてしまうことも可能です。
●残置物とは
残置物とは、住宅の居住者または建物の所有者が残したゴミの総称です。
生活に使っていた物で残されている物は全て残置物となります。
これらの物は一般廃棄物として自分で処分できますが、解体工事業者に処分を依頼した場合は、
同じ残置物でも産業廃棄物として扱われるようになります。
ただし、テレビや冷蔵庫などの一部の電化製品は家電リサイクル法の対象になり、
残置物と一緒に処分することができません。
●解体工事における残置物の種類
解体工事後の残置物の処理に関しては、環境省が制定した法律により、
布団や衣類、不燃ゴミなどの「一般廃棄物」の処理を解体工事業者が行うことはできません。
そのため、解体工事業者も外部の専門業者に委託することになり、その分費用が高くつきます。
つまり、一般廃棄物に関しては自分で処理した方が費用負担を大幅に削減できるということです。
例えば、生活ゴミとされる「可燃ゴミ」や「不燃ゴミ」はゴミ収集日に出せば、
無料かわずかな費用負担で処分できます。
「粗大ゴミ」にしても回収日に出せば、ほとんど負担なく処分できます。
ちなみに、一般廃棄物と産業廃棄物を大きく区分けすると以下になります。
1)産業廃棄物
事業活動から排出された廃棄物であり、その中で紙屑や木屑、プラスチック、ガラス、鉄くず、書類
といった廃棄物処理法で規定された20種類が産業廃棄物となります。
2)一般廃棄物
廃棄物処理法で規定された産業廃棄物以外の廃棄物のことです。
そして、家庭から排出される紙屑や段ボール、残飯、野菜くずなどは「家庭廃棄物」と呼ばれます。
それに対し、事務所などから排出される紙屑や段ボール、飲食店から排出される残飯、
小売店から排出される野菜くずなどは「事業系一般廃棄物」とされます。
産業廃棄物は廃棄物処理法の規定に則って、
中間処理施設や最終処分場などの決められた場所で処分しなければなりません。
そのため、一般廃棄物を産業廃棄物として処分すると費用が嵩みます。
例えば、ベッドのスプリングマットレスを一般廃棄物の粗大ゴミとして処分する費用は
おおよそ2,000円程度で済みますが、産業廃棄物として処分すると、約5,000円もかかるようになります。
従って、解体工事を行う前に、残置物をできるだけ自分で処分しておいた方が賢明です。
なお、産業廃棄物として区分けされるゴミは、
そのゴミの種類に応じた収集運搬や処分に関する許可を持った事業者で無ければ取り扱うことができません。
従って、解体工事を依頼する前に、許可を得た適正な業者かどうかを確認することが必要です。
●残置物の撤去の手順
解体工事の請負業者に残置物の撤去を依頼する場合は、以下の手順で行います。
1)打ち合わせ
撤去する物の確認を行います。特に、自分で居住していなかった親の住宅などの場合は念入りな確認が必要です。
2)仕分け
残置物は木屑、廃プラスチック、ガラス、雑誌、混載ゴミ等の仕分け作業が必要です。
状況によっては、リユース品と処分品との仕分けを行う必要が出てきます。
3)搬出
分別した残置物を家屋から全て搬出します。
4)処分
法律に則って適切に処分します。
●まとめ
住宅などの解体工事をする際に、建物に残された物は全て配置物として扱われます。
ただ、配置物には一般廃棄物と産業廃棄物に分けられ、その種類によって処理方法が異なります。
なお、同じ残置物を処分するにも、自分で処分すれば一般廃棄物として扱われ、
業者に依頼するより安く処分することが可能です。