解体工事において、騒音は避けて通れない課題です。
実際、解体工事といえば騒音をイメージする方が多いのではないでしょうか。
しかし、施工する場所によっては、騒音が大きなトラブルに発展してしまうことも珍しくありません。
今回は、解体工事で発生する騒音について、その基準や防音のための施工方法、騒音対策の情報を中心に解説します。
解体工事で発生する騒音の基準とは?
解体工事で発生する騒音をはじめ、騒音に関する法律は騒音規制法や振動規制法があります。
実は、解体工事等様々な工事や工事以外の行為で騒音を発生させる作業や振動は、法律で規制されているのです。
この騒音の基準は、「85dB」が値として示されています。
これは、会話が成り立たないレベルの騒音で、人がうるさいと感じるレベル(70bBB)を超えた数値です。
目安として、犬が近くで吠えた場合が90dB、セミの鳴き声が70dBなので非常に高い数値であるのが分かるのではないでしょうか。
解体工事では、原則として夜7時から朝7時までの夜間は作業が禁止されており、連続して6日を超えて作業することも行ってはなりません。
騒音の基準値を超えたら処分される?
解体工事で防音が必要な理由として、作業員の健康確保やトラブルを回避する目的もありますが、法律に抵触するリスクがあることも挙げられます。
先ほど紹介した2つの法律に違反して85dBの騒音を出し続けた場合は、市町村長が解体業者に対して改善勧告などを行います。
さらに、そこから何かしらの行政処分に発展する危険があり、場合によっては解体工事が継続できなくなる可能性も否定できません。
解体工事の防音でできること
解体工事の防音でできることは、散水と養生、近隣挨拶、手作業の多用です。
散水は、解体現場で水を調達し、水をまきながら作業することです。
これによって粉塵の飛散を予防するだけでなく、水が音を吸収してくれるので防音効果が期待できます。
確かに極端な防音効果があるわけではありませんが、散水をするかどうかによって音を小さくすることが期待できるでしょう。
養生も重要です。
防音シート(養生シート)などを張り巡らせて解体工事を行うことによって、確実に騒音を小さくすることができます。
解体費用が増してしまいますが、近隣の影響や騒音対策として確実な効果が期待できるので、解体工事を行う場合は、必ず行っておきたい作業といえます。
設置しなくとも違法にはなりませんが、設置しないと確実に騒音が大きくなるので、設置をお願いするようにしましょう。
近隣挨拶も確実な騒音対策です。
騒音は、心理的な影響も大きく、いきなり大きな音が聞こえ始めたら、ストレスを感じる人は多いです。
そのストレスから、通報をしたり、行政に問い合わせをしたり、業者にクレームを言うなどといったトラブルに発展することもあるので、作業前に周辺へあいさつ回りや工事で迷惑をかけることのお願いに行くのが重要といえるでしょう。
手作業の多用も重要です。
隣家に接する部分を重機で解体すると相当な騒音が発生します。
そのため、その部分は足場など必要な設備を用意して、手で解体を行うことも騒音の対応で必要です。
手間がかかるのも事実ですが、それ以上に大幅な騒音の低減が期待できるので、騒音が大きく聞こえそうな場所は手作業で行うなどの工夫をしましょう。
ただ、全て手作業で解体することはできないので、その点は注意が必要です。
まとめ
解体工事に騒音はつきものです。
しかし、だからと言って当たり前のように騒音を出してしまうと、法律の規制にかかってしまったり、近隣住民とのトラブルのもとになります。
そうならないためにも解体工事では防音対策が必須なのです。