斫り工事とはあらゆる建設現場に欠かせない非常に重要な工事

「斫り工事」と聞いても世間一般的にはあまり知名度が高くなく、ピンと来ないかもしれません。
当ブログを読んでいるあなたももしかしたら聞いた事がないかもしれません。
ですが、この「斫り工事」は建設現場において非常に重要な役割を担っているのです。
では「斫り工事」とは一体どんな工事なのか、解説してきましょう。


＜斫り工事の概要＞

「斫り工事」とは、簡単に言えば建設現場における”コンクリート部分の比較的小規模な工事”の事を指します。
コンクリートをディスクグラインダーなどを用いて切ったり、ドリルなどを用いて穴を開けたり、
電動ピックやエアブレイカーを用いて削ったり、壁や床の一部を壊したりするのが主な作業内容です。
少しボリュームの大きなコンクリートを一部破砕する場合には
必要に応じてユンボなどの重機を使用する場合もあります。
次に若干似ている「解体工事」との違いについて解説します。

＜斫り工事と解体工事の違いとは＞

解体現場とはその名の通り、大きな重機などを使って建物等の構造物を全体的に取り壊す工事の事です。
要するにコンクリートの構造物を全体的に取り壊すのが「解体工事」、
コンクリートの構造物の一部分を壊したり、削ったりするのが「斫り工事」です。
重機が入れないような狭いスペースで「斫り工事」をしたり、
住宅密集地において騒音対策として「斫り工事」をしたりと
「解体工事」と「斫り工事」は切り離して行われる事もありますが、
現場によっては「解体工事」と「斫り工事」を同時に行う場合もあります。
例えば、（建物を全体的に壊したいけど、一部分だけは残して再利用したいな）
というような時には「斫り工事」を行います。
方法としては、取り壊す部分と残す部分の境界線を決めて、
その境界線に沿って人力でコンクリートを先に壊していき、壊す部分と残す部分を切り離す方法です。
この作業は「縁切り」と呼ばれ、他にも道路に面した壁を重機で倒す際に、
道路側に壁が倒れないように重機で壁部分を押さえつつ人力で「縁切り」をして壁を倒す
といった作業にも用いられます。
「解体」と「斫り」は似ているだけではなく、併用する機会が多く、
優れた解体技術を持つ人は同時に優れた斫りの技術を持ち合わせている場合が多いです。
次に「新築工事」や「改修工事」における「斫り工事」の役割について解説します。

＜斫り工事の新築工事や改修工事おける役割とは＞

一見、新しい構造物を作ったり、直してより良い構造物を作る「新築工事」や「改修工事」と、
どちらかと言うと「解体工事」寄りな
「斫り工事」は無関係に思えますが、
実はかなり重要な役割を担っています。
例えば新築のマンションを建てている現場において、床が少し孕んでいて仕上げの床材が張れない！
なんて時には、床をディスクグラインダーによる「カップ掛け」という作業で少しずつ調整しながら削っていったり、
商業施設の「改修工事」において、店舗拡大でコンクリートの間仕切りの壁が不要になったため、
エアブレイカーを用いてその壁を取り壊してみたりと、
他にも挙げればキリが無い程に「新築工事」や「改修工事」と「斫り工事」は密接な関係にあります。
このようにコンクリートの微調整や、邪魔な部分を取り除く作業を担うため、
優れた斫りの職人は「新築工事」や「改修工事」において非常に重宝されます。

＜斫りは様々な場面で重要な役割を果たす＞

以上の事から「斫り工事」はあまり聞き慣れない言葉ですが、
様々な現場で非常に重要な役割を担っている事が分かります。
いわば黒子のような存在であまり表舞台には出ずとも、建設現場を縁の下で支えているような存在です。
優れた斫りの技術は人知れず世の中の構造物の礎になっています。
いつか「斫り工」も「大工」や「鳶工」のような知名度を得る事を願います。