ー解体工事の完了までの期間はどれくらい？流れと目安をやさしく解説ー

 

解体工事の全体像と基本スケジュール

解体工事は「準備」「着工」「搬出・整地」「完了」の4段階で進みます。戸建て木造30坪前後なら、準備2〜4週間、現場作業7〜14日、撤去証明などの事務手続き1〜3日が一般的な目安です。余裕をみて、問い合わせから完了まで1〜2カ月と考えると安心です。
準備には、現地調査・見積比較・契約のほか、近隣告知、道路使用の確認、ライフライン（電気・ガス・水道・通信）の停止申請、建設リサイクル法に関わる分別方針のすり合わせなどが含まれます。ここがスムーズだと、着工日の確定が早まり、全体の期間短縮に直結します。

標準的な工程の流れ（戸建ての例）

・見積依頼・現地調査（2〜5日）
・契約、近隣挨拶、ライフライン停止手配（3〜10日）
・足場・養生→内部解体→構造躯体解体（7〜10日）
・廃材分別・搬出→整地→最終確認（2〜4日）
・マニフェスト・滅失登記用の書類受領（1〜3日）

期間が伸びやすい要因

ここからは、同じ規模でも所要日数が前後する代表的な要因を整理します。複数が重なると1〜3週間の差になることもあるため、最初の見積・計画段階で確認しておくとスムーズです。
また、処分場の受け入れ状況や運搬車両の台数、重機の稼働枠など、発注側からは見えにくい供給制約も影響します。繁忙期は予約が埋まりやすいため、着工日を先に押さえる発想が有効です。

建物条件と敷地条件

・構造：鉄骨・RCは木造より日数と重機手配がかかりがち
・立地：前面道路が狭い、搬出ルートが取りづらい
・付帯物：ブロック塀、カーポート、庭木、地下埋設物の有無

法令・手続き面

・各種届出の要否や、自治体の審査リードタイム
・アスベスト事前調査での分析期間、除去工事が必要な場合

季節・周辺環境

・繁忙期（年度末など）や台風・降雪の影響
・学校・病院が近い場合の作業時間帯の制限や騒音配慮

早く終わらせたい人の実践ポイント

「できるだけ短く」を叶えるコツは、準備段階の詰まりを無くすことです。現場作業を急ぐよりも、情報の出し戻し・手配待ち時間を減らすほうが効果的で、安全性も損ないません。さらに、発注側の意思決定を早めるため、見積の比較軸（工期・分別方針・追加費用条件）を最初に決めておくと、迷いが減って着工確定が早まります。

ボトルネックを減らす5つのコツ

1. 早めの現地調査：図面・写真・面積が正確だと再見積が不要
2. 近隣告知の同時並行：挨拶文・日程を早期に共有
3. ライフラインの停止予約：電気・ガス・水道・通信を前倒し
4. 分別方針の合意：再資源化率と搬出計画を事前に固める
5. 予備日を確保：天候・機械故障に備え1〜2日のバッファ

やってはいけない短縮策

・届出や近隣告知を省くこと：後日のトラブルで停止・延長の危険
・無理な同時進行：安全確保が難しく、結果的に手直しで遅延
・極端な費用圧縮：人員や車両が不足し、予定どおりに進まない

モデルケース別の期間目安

具体的なイメージを持てるよう、代表的なケースを3つに分けて目安を示します。個別の状況で増減しますが、見積比較や引き渡し計画の基準づくりに役立ちます。

木造30坪・更地渡し

準備2〜3週間＋現場7〜10日＋事務1〜2日＝合計約4〜6週間。内部残置物が少なく、道路が2t車で余裕なら、より短縮できる可能性があります。

鉄骨40坪・付帯物多め

準備3〜4週間＋現場10〜14日＋事務2〜3日＝合計約5〜7週間。鉄骨切断や基礎撤去に時間を要し、搬出回数も増えやすい点に留意しましょう。

RC造30坪・狭小地

準備3〜5週間＋現場12〜18日＋事務2〜3日＝合計約6〜8週間。低騒音対応や散水強化で日数が伸びやすくなります。

スケジュール作成のチェックリスト

最後に、計画段階で抜け漏れがないかを確認できる簡易チェックを用意しました。担当者と共有して、開始前のすり合わせにお使いください。
工事店と発注側の認識ズレは、最終週に集中しがちです。週次で予定と実績をすり合わせ、写真共有と搬出量の記録を残すと、想定外の追加が起きても判断が早くなります。

事前チェック

・滅失登記の担当者と必要書類
・アスベスト調査の実施有無と結果の反映
・近隣挨拶の範囲、作業時間帯、搬出ルート合意
・ライフライン停止日とメーター撤去の手配
・再利用品・残置物の扱い（持ち帰り／廃棄）

まとめ：余裕をもって逆算しよう

解体は準備が要です。問い合わせから逆算して、少なくとも1カ月、可能なら2カ月の計画を取りましょう。焦らず安全第一で進めることが、結果として最短での完了につながります。